ホーム 深層報道 「はっきり言ってゲームはいらない」◆尾木直樹氏が語る「ゲームってなんだ」

「はっきり言ってゲームはいらない」◆尾木直樹氏が語る「ゲームってなんだ」

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尾木直樹さんへの取材では質問をはるかに超える回答が返って来ました。それら回答の軸にあるのは「ゲームは使い方によって良悪どちらにもなりうるもので、その意味を履き違えてはいけない」ということです。 『私たちはゲームを良いものと過信しているのではないか』『本当に良いゲームとはなんだろう』ということを今一度ゲームで遊ぶ前に考えてはいかがだろうか。

Mediums特集企画「ゲームってなんだ」

4月になり受験が終わって新しい学校に入り気が緩んでいる人もいるのではないだろうか。もしかすると中には既にゲームに依存してしまって課題が手につかない、という人もいるのかもしれない。私たちにとってゲームの問題はいつの時代も避けては通れないものだ。
そこで「ゲームってなんだ」をスローガンに、専門家へのインタビューを通じてゲームについて考えていく。

 

ゲームという存在は親の目線・教育現場の立場から見たらどうなのだろうか。1回目の今回は、教育評論家で法政大学教授の尾木直樹氏に話を伺った。


(インタビューで教育について語る尾木直樹氏)

「ゲームについてはどう思っているのか」

ー現代におけるゲームについてどう思われますか

「『ゲームを使って疑似体験していくことで想像力を豊かにする』などと言われているが、それは全然違うと思います。ゲームは全てプログラミングされ、作られたもの。そこで遊ばされているだけであって、それで喜んでいるようでは話にならないと思う。それは大人のごまかしにすぎない。」

ーでは逆に良い点はあると思われますか

「かろうじて『空間認識能力』が高まるのではないかと言われているが、日常生活の中や、あるいは自然体験など、そこでも高まる。だから、はっきり言ってゲームはいらない。」

「親は私たち(子供)にゲームを与える? or 与えない?」

ー小さい頃からゲーム機を持たせる親が多くなっていますね。持たせないという選択もあると思うのですが

「日本の親は主体性が全くない。それはゲームに限ったことではなく、スマホを持たせるのも同じで、友達がいなくなるとか、遊んでもらえない、連絡が取れなくなる、うちの子かわいそうだというので小学生から(スマホを)持たせている。僕の経験上、スマホを持ってないことで本当に友達がいなくて困っているという人には会ったことがない。それは親が勝手に不安なだけで、うちは『持たせない』というのは大いにありだと思う。それを貫くことができないというのは、親が自立できていない証拠。しっかりして!と言いたいですよね。」

ーちなみに尾木さんのご家庭では、ゲームについてどのような方針だったのですか

「自分の子どもが小さかった時、うちは絶対にゲームは買わないって決めていた。そうすると子どもから『お父さん、みんなと遊べなくなる』とか色々言われたが、『友達のところへ行って遊べばいいでしょ?』と言っていた。様子をずっと見ていたが、友達のところへ行っていつもやらせてもらっていた。家でやれないから全然上達しない、遊べない、と(愚痴を)こぼしていましたが、それが決定的な弱点になったかというと、そうでもない。ないならないでやっていける。」


(警鐘を鳴らす時はやはり真剣な面持ちだ)

「ゲームを奪えば良いのではない

ー”ゲームを与えない”という選択をした際に気をつけることはありますか

「ゲームはよくないと尾木ママが言っているから買い与えない、とか取り上げちゃう、というのは良くない。大事なことはゲームを奪えばいいのではなく、ゲームに代わる充実した生活とか楽しい遊びとかがちゃんといっぱいあることがとても大切。」

ーゲーム依存が問題になっていますが、先ほどあった”生活”との関係はあるのでしょうか

「携帯依存になる子とならない子、その差が面白い。以前法政大学の尾木ゼミで調査した際、『親が好き』と言った人で携帯依存になっている人はものすごく少ないが、『親が嫌い』だと言った人はほぼ携帯依存状態にあった。これはゲームとも同じで、家庭が面白くないとか、無理やり塾に行かされていたりしていると、ゲームにどんどん引き込まれていって依存状態になる。そしてますます止められなくなる。」

 

「ではゲームをどう使っていけば良いのか? キーワードは『充電』⁈」

ーゲームをうまく使っていく上で重要なことはありますか

「ルールを親子で決めるということがすごく重要だと思います。」

ールールですか。ルールを作っている家庭は多いと思いますが、実際問題難しいところも多いと思います。どうすれば良いのでしょうか。

「僕が聞いた中でいいと思った例としては、ゲーム機の充電を週に1回などと決める。そうするとどれくらい使えば充電が切れるかわかるようになるから、月曜日はやらないけど火曜日は1時間やろうとか、毎日1時間だけなら充電が持つ、とかが見えてくる。そうすると自分で管理できる。やる時間を1時間と決めたところで途中で止められるわけがないじゃない、一番いいところに来てるのに(笑)

そういう意味では、「充電」というのはひとつの強力な武器になるみたい。」

ーこういったゲームの使い方なら良いんじゃないか、みたいのはありますか

「家族の楽しみが増える形でゲームを使っていくのなら、大いにいいと思う。あとはストレスを発散したり、娯楽にちゃんと役に立つような使い方。「ゲームに使われてしまわない」(重要なのは)ここだと思う。」

ー中高生という成長期の中で、私たちはどのようにゲームを使っていけば良いのでしょうか

「中高生時代は、友達ともっと遊んで欲しいし、読書をしたり、部活をやったりして欲しい。あくまでも(ゲームは)バーチャルの空間だし、生きているこの空間の関係を大事にして欲しいなと。そこが大事にできている人であればゲームに依存していかないと思う。皆さんにはそれを大事にできる力をつけて欲しい。」

(インタビュー中は笑みもこぼれた)

「意味を履き違えてしまうと大変

ー中高生へメッセージをお願いします

「ゲームをやってはいけないとは思いませんが、実際の友達との遊びだったり語らいとか、読書の生活とか、部活だとか、そういう実生活の中を充実させるというのを第一優先にして欲しい。そして息抜きとかレクリエーションだとかで、ちょっと娯楽的にゲームをやってみる。ゲームの方が『主』ではなく『従』になる、中心的なのは実生活だという優位関係を壊さなければ、ゲームも大いにやっていいと思います。」

「そこのところを履き違えてしまうと大変なことになる。友達がいなくて虚しさを覚えると更にのめり込んでいってしまうから、気をつけてほしいなと思います。」
「ゲームに使われるな、ゲームは使え!」

 

(終)

この記事を書いた記者

白髭 直樹
白髭 直樹Mediums 代表/編集長
映像制作からPR、プログラミングなど多岐にわたり活動。映像関係においてはNHK杯全国3位、コンテスト優勝など数多くの受賞歴。またITベンチャーに参画のほか、報道活動やイベントの運営なども行っている。