ホーム 深層報道 6年後の震災と学生 どう向き合う?

6年後の震災と学生 どう向き合う?

0
シェア
 インタビューの前に行われたシンポジウムだが,記事内で紹介したパネルディスカッションの他にも複数の団体や学生の発表(筆者も発表者の一人だ)があったり知事の直接のプレゼンがあったりした。多くの発表の中でも共通して話題にされたのが震災の風化,つまり以前よりも被災地に目を向ける人が少なくなっているということだ。これは被災地の筆者も実感していることであり,しかし時間がたっているのだからそれは自然なことだと考えることもある。  「大変な出来事を忘れない」「次の被害を生まない・小さくする」ことはもちろん,そもそも震災は未だ終わっていないのだ。村尾氏の言葉にあるように「他人事ではない」と自分のこととして考えることから,被災地に対する「身近なチャレンジ」を生むことだってできる。それが未だ忘れられては困る人々の支援となることを心にとめておきたい。

3月18日に「ふくしま復興を考える県民シンポジウム2017」が福島市で開かれ,福島県の復興に携わる人々が約400人の聴衆の前で福島のこれからを話し合った。

パネルディスカッションの様子
パネリストの村尾氏(左),内堀氏(中左),藤沢氏(中右),岡本氏(右)

シンポジウム内では「復興に若者の力を借りるだけでなく,真の意味で若者に任せる部分も必要だ」「行政だけが中心ではなく地域の人,民間の団体を中心として行政が暖かく支援すべきだ」など活発な意見が交わされた。

 

シンポジウムの後,Mediumsは登壇者への取材を特別に許可された。

 

内堀雅雄氏
内堀雅雄氏(52)

内堀雅雄氏(52) -福島県知事

―シンポジウムでは「行政や民間団体の『大きなチャレンジ』だけでなく,個人が目標に向けできることを行う『身近なチャレンジ』も重要だ」と言うことを述べていましたね。

「はい。学生のみなさんには特に『自分の友だちをつくる』ということを身近なチャレンジとしてほしいです。今はSNSがあるから国をまたいでもできると思います。生で会って友だちをつくるのも大事ですね」

-それは被災地とその他の地域で,ということですか?

「そういうことではありません。3.11の被災地だということを抜きにして,純粋に自分の友だちをつくってください」

―シンポジウムを終えて,改めて復興への思いを聞かせてください。

「たくさんの人が来てくれて嬉しいです。登壇者のみなさんも非常に熱心に復興に取り組んでくださっています。また,聴衆のみなさんも熱心に聞いていました。それは,今でも逆境の中でみんなが光を求め未来を照らしたがっているからだと思います。一人ではなく,県民みんなで前へ進んでいくことが大事です」

―では学生目線のお話をさせてください。震災から6年たった今,県内外の学生に訴えたいことはありますか。

「前進することが大切です。そのためには『逆境をどう乗り越えていくか』『自分に何ができるか』を考える必要があると思います。もちろんすぐに結果を出さなくてもいいんです。自分ができることを考えること自体が前進へつながると思います」

「『どういう人生を送ればいいのか』と考えることもあるでしょう。私たちは世界でも希な危機に直面しました。いろいろな方に応援もしていただきました。だから県内の若者にとっては『応援に恩返ししよう』『社会の役に立つ活動をしよう』というのも骨格になる考え方です。未来に向かってチャレンジしていきましょう」


村尾信宣氏
村尾信尚氏(61)

村尾信尚氏(61) -ニュースキャスター

―日々様々なニュースが流れる中,3.11の話題についてはどのような気持ちで伝えていますか。

「震災ではショックを受けた被災者の方々が大勢います。だからまずは『その人たちに寄り添う』といったことですね。それから『なにが力になる?』ということを考えます。全国に被災のつらさや必要な物,力になれることを伝えるんです。それで少しでも苦しみを和らげることができたらなと思いますね」

―村尾さんは,関西学院大の教授として学生のそばで活躍される面もあります。私たち学生はどのような態度で震災の報道を受け止めるべきだと思いますか。

「『他人事ではない』ということです。例えば東北だけではなく昨年には熊本でも地震が起きました。地震に限らず台風や竜巻など災害だけをとってもいろいろなところで発生しています。自分の近くでも起きるかもしれないと思うことで『次が自分だったら』と考え,そこから『じゃあ今困っている人に何をできるかな』と思ってほしいです」

―震災直後と比べて学生の行動は変わってきていると思いますか。

「はい。震災直後はボランティア活動が活発でした。もちろん福島県の一部など入れないところは多かったのですが,それでも若い学生が積極的に動いていた印象があります。6年が経過した今では,ボランティアの需要が以前より減り若者が(被災地に)来ることが少なくなりました。しかし,被災地では実際に来て見てみないとわからないことが多くあります。『来てみる』ことが大事です。ぜひ一度被災地に来て,現状を自分の体で感じていってください」

 

シンポジウムではこのほかにも民間団体の代表や大学生,高校生らも発表を行いそれぞれの視点から被災地の課題や被災地以外の人々の課題が挙げられた。多くの人が積極的に現状を理解し,行動することが求められる。

この記事を書いた記者

大谷亘
大谷亘Mediums 編集部 東北パート
福島県の男子高校生で,学校内外で3.11や報道に関わる活動を続けている。現在は高校新聞記者の経験を活かして,学生が受け取った情報を多角的に捉え考えるサポートをするためMediums記者として活動中。